室内のセシウム [被曝]
某ブログで、千葉の某市室内で、「20ベクレルのセシウムが検出された!」と妻がメールしてきた。
だから、
そんな部屋から引っ越しで荷物を運んでいいのか?
という話だ。
良く見ると、原発事故後どれぐらいの期間なのか分からないが、室内に溜まったホコリを掃除機で集めて、そのダストパックを検査したら、20ベクレル/13グラムのセシウム134と137が検出されたのだと言う。
13グラムから20ベクレルぐらいのセシウムを検出できるということは、かなり特殊なことをしたんだと思う。(たぶん、ベクレルモニターとか、検体の量がある程度ないと、計測できないんじゃないだろうか?)
それからいろいろと、できもしない計算をして、考えた結果、これは、室内としてはかなり汚染されているとはいえ、普通にガイガーカウンターで測ったりしたら出て来ない値であることが分かった。
だから、もちろん、ガイガーカウンターで検出されなくても、それぐらいのセシウムは部屋の中にありますよ、という警告なのだが、こういった部屋に置いてある段ボールを引っ越しで運んだことで、汚染は拡散するのか?というのが妻の問いなのだ。
考えてみる。
この家が仮に100平米あるとすると、家全体から集めたホコリが
平均して0.2ベクレル/平方メートルあることになる。
これは、セシウム137に換算すると、0.000050cpm(1分間あたりの放射線カウント数)で、空間線量としてはマイクロシーベルトのさらに1000分の1のナノシーベルト単位になる。
つまり、普通に計測したら絶対に検出されない。
だから、「ない」と言っているわけではなく、この単位のセシウムを「0」にしようとしたら、そこから逃げるしかないという話だ。
そこから段ボールに付着したセシウムが、今度引っ越し先で部屋の空間線量を上げることなど、さらにあり得ないだろう。
もし上がるようなことがあったら、引っ越し業者のトラックが、雨の日に福島の大熊町から何かを搬出して、それが水たまりにでも突っ込んで、その汚染水がトラックの荷台に溜まってたようなところに、僕らの段ボールが浸かったとかいう場合だろう。
だから、もしそんなことが起きたのだとすれば、ガイガーカウンターを近づけてその段ボールを特定できるぐらい、ひどい汚染だと思う。
よく、SOEKSあたりのガイガーカウンターを使って、関東から送られて来たハガキに近づけたら線量が上がったとか言ってる人がいるけど、SOEKSは平気で0.2μシーベルトぐらい上下するし、そんなに汚染されてるハガキがあるのだとしたら、郵便局員が、ホットスポットの側溝にでも落っことしたんだと思う。
僕は千葉のプレハブの仕事場で、311以後一回も換気してない状態で、6月にRADEX RD1008で、エレクトロラックスOxygenのダストパックのβ線を計測したが、不検出だった。
今回のこの20ベクレル/13グラムを1センチ平方メートルに凝縮して、セシウム137のcpm換算すると、50cpmぐらいになるから、部屋の中なのにかなり汚染されていることは事実だ。
では、RD1008で検出限界以下で、どれぐらい汚染されている可能性があるのか?
RD1008のβ線の検出限界は7cpmだから、2.8ベクレル/平方センチメートルになる。
仮に、僕の仕事場130平米に2.6ベクレルのセシウムがあったとすると、1平方メートル辺り0.02ベクレルになる。
これは、空間線量にすると0.00000004μシーベルト/時とかになってしまうので、おそらく、室内の空間線量は、ほぼ100%屋外の土壌汚染から来たものだ。
同じ計算をすると、千葉の平常値0.02μSv/hが0.12μSv/hに上がったということは、0.1μSv/h上乗せされたと言うことで、それだけ空間線量が上がるのは、約770ベクレル/kg、50000ベクレル/平方メートルぐらいの汚染になる。
ええ?そんなに汚染されてるの?と思ったが、
仕事場は千葉の日本分析センターから数キロのところにあって、前にも書いたが、そのセシウム土壌汚染データを見ると4月14日時点で、セシウム137は5万3000Bq/平方mだから(だから、千葉もチェルノブイリの第四区分、放射線管理区域になる)、間違ってはいないのではないだろうか?
ただ、そんな汚染地帯にある、すきま風だらけのプレハブでも、室内は0.02ベクレル/平方メートル程度の汚染だから、自宅の方はもう少し低いだろう。
仮に家全体で1ベクレルのセシウムがあって、0.01ベクレル/平方メートルの室内汚染があったとしても、空間線量は全く上がらない。
(こう考えると、やはり屋内退避をして換気をしないということが、どれだけ重要かということが分かる。特に関東の汚染は雨による沈着が大きいから、大気中の放射性物質はあまり入り込んでこなかったのではないだろうか)
しかし、例え1ベクレルでも、放射性セシウムなど原発事故前はなかったのだから、汚染されたことは間違いないし、そんな事故を起こした東電を許すつもりもない。
ただ、これを取り除くことはもう、どうにも不可能で、
何かの拍子に、この拡散していた1ベクレルが、なぜか1平方メートルぐらいにぎゅっと集まって、その上に積み上げられた段ボールの底に付着して、さらに避難先の床を汚染するというのも、原理的にないことはないだろうが、ではそれを「0」にしようと思ったら、単純に、全てを廃棄する以外ないと思う。
引っ越し先に段ボール箱を運び込んだせいで空間線量が上がるというこは、ほぼないわけだから、仮にその表面に、100分の1のセシウムが千葉の自宅から運悪くくっ付いてきたとしても、その0.00000004μSv/時のさらに100分の1の空間線量を「ないもの」と考えるしかないと思う。
妻にこういう話をすると「だけど、0じゃないんでしょう?」と言うが、それを「0」にしようと思ったら、もう捨てるしかないのだ。
しかも「全て」をだ。
全てを捨てて、南半球に行く以外、それを「0」にする手段はないと思う。
ただし、そうやって取り除けるリスクは、0.00000001のさらに100分の1とかのものだと思う。
こんな確率的な数字並べても意味がないのはよく分かるし、汚染がない、などと言うつもりはない。
だけど、僕はその確率によって健康被害が出たり遺伝子が傷ついたりとか、そこまでのことが起きるとは思えないし、まず起きないだろう。
いくら低線量被ばくでも、それはないと思う。
それよりは、はるかに食品汚染の方が問題だと思う。
ただ、この「部屋の中のセシウム」と同じで、全てのものがまんべんなく汚染されてるわけではないんだと思う。
もちろん汚染されていそうなものは極力避けるべきだ。
結局、何が、どれぐらい汚染されているのか分からないから、それを避けるためには、その汚染地域の「全ての食品を食べない」ことしかない。
ただ、運悪く一口食ったからと言って、それでどうにかなるわけでもないと思う。
これはだから気にしなくて良いという意味ではまったくなく、
そういうイレギュラーなリスクを取り除くためには、とにかく日本を出る以外手はないからだ。
だから、日本に住むとなったら、そのリスクを受け入れるしかない。
いや、受け入れるってのは違うな。
そのリスクを避けるために、全力を尽くすしかない。だけど、万が一、それが口に入った時には、もう開き直るしかないと思う。それはおそらく、日本に住む限り、避けられないと思う。
しかしだからと言って、ただ黙って食えばいいというわけではない。
とにかく自衛して、
少なくとも、県単位で食品の抜き打ち検査やるとか、給食では食材の0ベクレル目指すとか、そういう管理体制を整えるように、行政に要請するしかないだろう。
それができるまでは、子供にはとくに、とにかくできる限り、安全と思われるものを食べさせるしかない。
2011-12-16 01:28
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