避難と死 [原発事故]

原発爆発から2年。

もうすっかり全てを忘れた人が9割9分。

1%ぐらい(0.3%ぐらいか)の人が、あの日を境に全てが変わって、「変わってしまった日常」をずっと生きている。

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原発 福島に負の連鎖 県外避難5万7000人(東京新聞 2013年3月11日)

この記事を読んでいて、少しおかしなことに気が付いた。

福島、宮城、岩手の被災三県で、津波や建物の倒壊といった震災の直接的な原因で亡くなった方のうち、

福島の人は10%。

それが震災後の関連死2554人のうち、

福島の人は1337人で52%になる。

そしてその9割が66歳以上だという。

つまり、避難途中、避難生活中に亡くなった年配の方が福島では多い。
この数字の異常さこそ、原発事故の恐ろしさを示している。放射能で身体をむしばまれる死だけが、「原発事故による死」ではない。
と、福島の震災関連死が多いのは「原発避難」が原因だ、という論調で、別に間違ったこと言ってないように見える。

しかし何か変だ。放射能の影響について一切触れられていない。

例えば、「福島の震災関連死は5割に跳ね上がる」と言うが、

今年2月現在の避難者数は、

宮城 11万7000人
岩手 4万2000人
福島 15万4000人

宮城・岩手合わせて15万9000人で、福島15万4000人。

だから「震災関連死」が半数でも何らおかしくないじゃないか。

すると、

「宮城、岩手は県内避難が大半なのに、福島は5万7000人が県外避難をしている」

とあたかも「福島の避難者の多くは、住み慣れた地元から全く離れた場所で生活せざるを得ず、そんなストレスだらけの生活を2年も続けているうちに年配の人がたくさん亡くなってしまったのだ」と言いたいかのようだ。

しかし同記事のこのグラフを見ると、

PK2013031102100086_size0.jpg

おそらく1年目は、震災直後に病院からの避難や持病の悪化などで亡くなった方が多いのだろうが、

事故後2年目の震災関連死は宮城で減っているのに、福島はあまり変わらない。

仮設住宅暮らしなど県内も県外もあまり関係なく「ストレス」がたまると思うし、岩手も県内避難者がほとんどなのに関連死は減っていない。

これを「福島は県外避難者が多いから」という理由にするのはちょっと無理ではないか?

最初何も疑わずに「そうだ、そうだ、避難者も原発事故の犠牲者だ」とうなずいて読んでいたが、

これは一見反原発風の、「ひねり」の効いた「サブリミナル御用記事」だ。

東京新聞は時々こういうのを書く。何なのだろう。

この統計は何か重要なのではないか?

ある意味避難区域からの避難者は被ばくの状況も似ているから一つの統計的な母集団になると思う。そこで他地域よりも突出して何かが起きれば、その死や病気自体を『被ばく』に容易に関連づけられる。そこに一切触れずに、『県外避難のストレス』と『結論づける』御用記事を、東京新聞のような良心的なメディアに「書かせる」ということは、逆に興味を引く。

この統計は来年以降も出るのか。

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