強制避難区域の低線量被ばく [原発事故]

「強制避難区域」はそこに立ち入ったらただちに急性放射線障害になるような場所ではない。

「住み続けることで継続的な被ばくをするとやがて明らかな健康被害が出る」という意味では「低線量被ばく」が問題となる場所だ。

そこに住んでいても「ただちに影響がある」わけではないのだから、強制移住などさせなくてもよかったはずだ。

原発事故からの避難者が避難生活中に亡くなったことで、「避難などさせる必要はなかった」と言う安全派がいるが、国は「原発関連死」で亡くなる方を出してでも、「強制避難区域」を作らざるを得なかったのだ。

彼らはリスクとベネフィットを鑑みて(コストとベネフィットか)、住民を放射能汚染地帯に留まらせて何割かに健康被害が出る方がマシ、と「行政的判断」を下すこともできたし、程度の差はあれ「放射能による健康リスク」が広がっている大都市ではその選択をした。

しかし「強制避難区域」だけは別で、そこに人が住み続ければ放射能の影響が隠し通せないほどはっきりとした形で健康被害が出てしまう。

つまり、強制避難区域は「ある一定量以上の継続的な低線量被ばくは健康に影響を与える」と国も認めざるを得ない場所なのだ。

その『ある一定』がどれぐらいのレベルなのかは別にして、そこに放射能のリスクは科学的に厳然と存在している。

だから、自主避難した人はその「行政的判断」には従わなかったが、代わりに、国家の科学的知見は正しく理解しているのだ。

(かなり楽観的で『安全寄り』の見方だとは思うが、その国ですら低線量被ばくの危険性は認めているということだ)

それゆえ国は、住民の健康を守るなどという理由ではなく、原子力への負のイメージを作り出さないためにも、強制避難区域など作りたくはなかった。

「警戒区域」「帰宅困難区域」「居住制限区域」「避難指示解除準備区域」と、やたら細かく区切って住民を引き戻そうとするのは、補償を打ち切るのもさることながら、国はできればこの「低線量被ばくの健康への影響」をないものにしたいからだろう。

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「この日本に放射能汚染による強制移住区域が存在する」

その事実だけで、原子力は否定されるのに十分なのだ。





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